「風立ちぬ、いざ生きめやも」
みなさんはゼロ戦と聞いて何が思い浮かべるでしょうか?
飛行機、戦争、特攻?それとも真珠湾でしょうか?
40代以上の方は再現機ではありますが、映画トラ・トラ・トラでの実機・実写による迫力ある映像、払暁に発艦していくシーンをご覧になった方も多いと思います。
そしてこの映画の主人公、堀越二郎氏ではないでしょうか?
という訳で宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」を見に行って来ました。
主人公は実在の人物ですが、物語は事実にもとづきつつもフィクションです。
あらすじはテレビCMなどでご存知の方も多いかと思いますが、零式艦上戦闘機=ゼロ戦の設計者、堀越二郎氏が主人公、そしてもう一人、同一人物として描かれていますが、恋愛などは題名にもなった小説「風立ちぬ」作者の堀辰雄氏です。
空飛ぶ夢を見る少年時代、学び友を得る学生時代、そして技術者となり寝食を忘れ飛行機の設計に没頭する姿と菜穂子との出会いから恋愛、結婚まで。ジャンニ・カプローニとの夢などが描かれます。
映画は多くを語らず、時々の出来事や事件、関東大震災と菜穂子との出会い、ドイツ視察、試作機の事故などをはさみつつも、日常的な情景を、どちらかと言えば淡々と時間に沿って進みます。
随所に描かれる空と緑の美しさと大正から昭和初期の町並みが印象的です。
エンディングは多くの示唆に富んでいます。
この映画は戦争糾弾やゼロ戦の優秀さを唱ってはいません。自分の夢に向かって坦々と、でもまっすぐに向かう人生があります。
見る人により思い描く事柄は違うとは思いますが、私は「自分の夢とは」「家族とは」「戦争とは」「科学技術とは」「人生とは」などなど多くの問いかけが思い浮かびました。
ユーミンの「ひこうき雲」
「白い坂道が 空まで続いていた
ゆらゆらかげろうが あの子を包む」
まるでこの映画のために作られたかのようです。
映像とともに戦争での出来事や菜穂子の事、「1機も帰って来なかった」悲しみが歌詞と相まって感動的でした。
私は自分の今までの事や日々の大切さと考え合わせましたが、特に今、青年期の方に見て、そして考えてほしいです。人生の意味、生き方の示唆に富んだ素晴らしい映画です。
ぜひ多くの方に見ていただきたく思います。
私のおすすめ星 ★★★★★
最後に
堀越二郎氏と堀辰雄氏に敬意を込めて。
「生きねば。」
映画公式ページはこちらです。(別ウィンドで開きます)