宇宙創成〈上〉〈下〉

サイモン・シン著 新潮文庫 青木薫訳

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セラリウスの天動説図
出典:ウィキメディア・コモンズ

物理学、天文学に挑んだ科学者たちの歴史について解りやすく書かれています。

ギリシャ哲学者の天体観測と星の運行理論の思考構築から始まります。
クラウディオス・プトレマイオス天動説から後、何度も提唱されては人間の五感や宗教による理由などで否定され続けたニコラウス・コペルニクスガリレオ・ガリレイらの地動説への過程、望遠鏡の発達がもたらした観測制度の飛躍的な向上と科学、宗教とのかかわりなどがよくわかります。

アイザック・ニュートンプリンキピアからアルベルト・アインシュタイン相対性理論へ、
Spacetime_curvature

2次元空間と時間の作る曲面
Spacetime curvature
出典:ウィキメディア・コモンズ

理論の発展には時々の科学者の理論から観測・実証にいたるまでの困難もあります。、科学者が自らの考えを実証すべく、冒険のような観測の旅に出たこと、時には観測結果が合わないこと、なども書かれています。エピソードとユーモアも交え時間に沿って進みます。

又、アインシュタインの一般相対性理論についても図を用いて解りやすく説明がされています。

下巻では宇宙と原子の関わりが俄然熱くなります。

Universe expansion

ビッグバン理論では、宇宙は極端な高温高密度の状態で生まれた
Universe expansion
出典ウィキメディア・コモンズ

ジョルジュ・ルメートルによる銀河後退の観測結果から「宇宙は原始的原子の爆発から始まった」というモデルが提唱されます。
そしてエドウィン・ハッブルが「銀河が地球に対してあらゆる方向に遠ざかっている」事(ハッブルの法則)を発見します。

ハッブルの法則をめぐってジョージ・ガモフの「ビッグバン」 とフレッド・ホイルの「定常宇宙」の対決が始まります。

この対立の決着もやはり観測結果でした。

WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ。 WMAP image of the CMB anisotropy 出典ウィキメディア・コモンズ

WMAPによる宇宙マイクロ波背景放射の温度ゆらぎ。
WMAP image of the CMB anisotropy
出典ウィキメディア・コモンズ


アーノ・ペンジアスロバート・W・ウィルソンの発見したCMBの放射(宇宙マイクロ波背景放射)がビックバン理論の証拠として理論と観測が良くあうことから、ついにビッグバン理論が受け入れられたのです。

ビックバン理論が宇宙を説明する理論として受け入れられるまでに、実に多数の科学者、観測者が関わり、多くの仮説が提唱され、実証のために観測がなされたことが解ります。

「科学もやはり人なのだ」との思いが強くなった一冊です。
中学生、高校生にぜひ読んで欲しい本です。

最後に本書で印象に残った言葉を紹介します
「宇宙について無知であればあるほど、宇宙を説明するのは簡単だ。」
レオン・ブランシュヴィク

私のおすすめ星 ★★★★★